スズキアンナ日報

スズキアンナが日常的にふわっと思ったことを書き連ねただけのどうでもいいようでどうでもよくないブログです。

雲を食べたことはあるか

古代エジプトの人達は、太陽が出てくるちょっと前に空にシリウスが浮かぶ頃、「あ、ナイル川氾濫する時期だね、豊作豊作」ってなっていたらしい。

それと同じくらい、私にとって空は身近で大切なもの。あと、エモい。

f:id:anzu_share:20170828010727j:image(わたしの大学の空と雲↑)

 

雲を食べたことはあるだろうか。

わたしは5歳の頃、食べた。

 

「ピーマンってなんで緑色なの?」「アサガオの葉の裏ってなんでサクサクって音がするの?」「まだ朝?もう昼じゃないの?昼は何?」

小さい頃から「なんで?」が多い子だった。普通そんな事子供に聞かれたら、イラっとすると思うのだが、わたしの親は全て教えてくれた。

そんなリトル鈴木杏奈が、ある日抱いた「なんで?」がある。それが、

「雲って、美味しいの?」

白くてフワフワしていて、甘そうで、綿あめみたい。って考えた事がある人は多いと思う。

そんな時、父はすぐに答えを教えてくれた。

「食べに行こうか」

岐阜県の乗鞍まで旅に出た。「上高地」とも言われている。北アルプスの山々が連なっていて、景色は美しく、空気も美味しい。

雲を食べるにはうってつけの場所。

上高地は素敵な場所。ていうか虫が多かった。顔に蜘蛛が落ちてきたんだけど。

食べたいものはそれではない。

上高地でのトレッキングを楽しんだ後は、いよいよ雲を食べるドライブをすることに。

車(当時はデリカ)は乗鞍スカイラインをぐんぐん登っていく。昔からドライブが好きだったし、今も車や電車から見る景色が好きなのは、これのおかげ。

そうしているうちに、すごく高いところまで来た。外は真っ白。風が吹きまくっている。

「降りるで!」

「はーい!」と返事しながら車を降りると、父が肩車をしてくれた。

 

いや、風が顔に当たりまくってるんですけど。

 

「口をあけろーーーー!!!!」

 

父の威勢のいい声に次いで、わたしは大きく口を開けた。

空気が、水蒸気が、思ったよりも透明な何かが、口の中に勢いよく入ってきた。

 

両親は昔から、経験をもって学ばせてくれる人達で、わたしが人よりも好奇心が旺盛で、目がキラキラしてしまいがちなのは、その賜物なのである。

少し危ない事をしようとしても、「やってみろ」って言ってくれる。きっとドキドキしてるはずなのに。

 

そんな危なっかしいわたしも、もうハタチ。

 

そういえば最近、「なんで?」が減ったように思う。

「なんで?」が浮かばないのだ。

年をとるにつれて、「なんで?」の対象が減ってしまう、とかそういう訳じゃなくて、純粋に、考える事をやめてしまっているからだと思う。

もう一度、雲を食べに行こうと思っている。今度は自分の足で。

「なんで?」を探しにいかないと、何も始まらないし、もう「なんで?」を与えてもらえるような立場でもない。

 

雲を食べて以来、空が好きになった。

ピンク色の夕焼け雲を見つけたら「春だなあ」って思うし、真っ青な空と入道雲を見つけたら「夏だなあ」って思うし、空が高くてうろこ雲を見つけたら「秋だなあ」って思うし、くすんだ色をした雲を見つけたら「冬だなあ」って思う。

今いちばん好きなのは、ひこうき雲

あれだけはまっすぐで、裏切らない。どことなく安心する。ひこうき雲が綺麗に見える場所が、好き。

わたしの「なんで?」は宝物。

緑色のピーマンを家で育てた事で、ピーマンを美味しく食べられるようになった。

アサガオの葉の裏のサクサクは、小学校の夏休みの観察日記に花マルをもたらした。

お休みの日は、お昼の散歩をするのが好きになった。

甘くてフワフワで、ずっと忘れない、

 

あの時食べた雲は、

美味しかった。

 

 

「それわかる!」とか、「これどう思う?」とか、「長い」とか、思ったことがあれば、ぜ教えてください